一般財団法人地域活性機構

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相次ぐ地方百貨店の閉店にみる地方創生の行方

更新日:2020/09/11

地方都市を中心に百貨店の閉店が相次いでいる。1月の山形市の大沼山形本店に続き、8月末に大津市の西武大津店が閉店し、県庁所在地に百貨店がない空白県が2県となるなどモノを売るだけでなく、コミュニティとして地域文化を支えてきた百貨店は瀬戸際に追い込まれている。地方都市を訪ね歩いていると中核都市以上の規模の地域には、どの都市にも古くから営業する地場百貨店があったが、ここ数年は年に10店舗程度が閉店。日本百貨店協会の統計によれば、2019年の全国の百貨店の売上高はピーク時に比べると実に約4割の減少という。

地方都市は、自動車の保有率が高い地域が多く、大型駐車場を備えたショッピングモールが規制緩和により郊外にオープンすることで顧客離れが起きたほか、高齢化や人口減少による市場の縮小に加え、「買いたいものがない」という消費者の百貨店離れなどライフスタイルの変化と顧客ニーズが様変わりしたことも大きく、アパレルなど地域のニーズに合った品ぞろいやテナント誘致という原点も疎かにはできない。また、地方では大きなウェートを占める地元富裕層を対象とした外商も地方経済の衰退で、需要が縮小しているという実情もあるようだ。

百貨店の撤退によりさらなる中心市街地の空洞化が懸念される。特に地方都市の百貨店は古くから地域に存在し、営業しているものが多いことから老朽化が激しく、耐震化の費用負担が重荷となって解体される例もあるが、跡地や建物の利用が未定な店舗、検討中の店舗も多く、大型マンションやホテルを含む再開発ビルが建設されるなど、そのまま施設が利用されて商業施設がオープンする例は少ない。今後はまちづくりの観点からも自ずと店舗跡の活用が焦点となってくるが、街のにぎわいを失わないよう地域全体の回遊性を高めることが求められる。

以前は街のランドマークであった地方都市における「一番店」の百貨店はモノを売るだけでなく、地域のコミュニティとして人の流れをつくり、地域文化を形成してきたが、ますます加速化する閉店の流れを止めることは厳しいと予想される。今後、市や地銀などとの連携協力による商品開発や販路拡大をはじめ、サービスやコミュニティ機能など地域ならではの特徴を鮮明に打ち出す新たな基軸、施策を講じていくことが望まれまるほか、閉店になった場合でも中心市街地のにぎわいを絶やさぬような建物や跡地利用が期待される。(K)


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